パウル・クレーと退廃芸術の苦悩
スイス国境に近いミュンヘンブーフゼーに生まれたパウル・クレーは、独自の色彩感覚と詩的な線描で知られる20世紀を代表する画家です。ドイツのバウハウスなどで教授として活躍しましたが、ナチスが政権を握ると「退廃芸術家」の烙印を押され、ドイツ国内での活動を一切禁じられました。迫害を逃れて故郷のスイス・ベルンへ帰国しましたが、晩年は硬皮症という難病に苦しみながらも、不安と死の影が漂う深い精神性の作品を多数制作しました。第二次世界大戦中の1940年にベルンで亡くなり、激動の時代に翻弄されながらも芸術の灯火を守り抜きました。